2016/10/02

君の名は



突然ですが今巷で話題の大ヒット作、『君の名は。』を見に行ってきました。
毎月一度は映画館へ行ってるので、とーぜんこの映画もタイトルだけは知ってましたが見る前の私は『ケッ!恋愛アニメ~~?俺は洋画マニアだよ~~、新海誠作品なんてちゃんちゃらおかしくて・・・』という感じだったんですよね。
普段見るのは銃で人を撃って殺すような作品ばっかだし。
ですがあんまりにも話題になってるし、丁度映画は安く見れるファーストデイが土曜日だったこともあり興味本位で見に行くことにしました。
んで感想としては『ンもしろぉ~い!やっぱり天才だ~!また来るよォ~~!何度でも見に行っちゃうもんねェー!』ていう感じで見事にトニオさんの店でプリン食った億安みたいなテンションになりました。
以下、感想を書きますがネタバレのオンパレードになるんでリージョンで隠しておきます。
この映画は全く知らないで見るのと先の展開を知っているのとでは大分面白さが異なりますので・・・







まず、私は新海誠の作品をほとんど見たことなかったんですね。
唯一見たのは大学の授業で見たほしのこえだけでしたし、今作も当初は見るつもりがなかったので事前情報を全くと言っていいほど集めてませんでした。
故にタイムループもの、入れ替わりものという事すら知らなかったんですが、そのおかげでかえってって新鮮に見れた気がします。
瀧と三葉が違う時間軸にいたというのは今作の重要なポイントですし。
男女二人の高校生がある時から一週間に数回体が入れ替わり、それぞれの生活を送っていくという話なわけですが、ノートに『お前は誰だ?』と書いてあったり全く身に覚えのない日記が更新されている辺りは何気ない日常から急に違和感を放り込まれるミステリー的な要素で面白かったです。


ただ、この話の肝である『三葉が実はすでに亡くなっていて、瀧はいるはずのない人間と入れ替わっていた』という部分については途中で読めちゃったんですよね。
具体的には三葉が瀧と入れ替わって『よくできた夢だなあ』とつぶやいた時点でどっちかが夢の世界の話なんじゃないか?と疑いはじめ、瀧が奥寺先輩に『私以外に好きな子できたでしょ?』と聞かれた時点で『オイオイオイ、死んでるわ三葉』ってなりました。
なんせ入れ替わった事は互いに認識していて、名前も住所もケータイのアドレスも確認できるんですから二人が普通に離れた場所に暮らしてるだけの男女だったら『じゃあ、逢ってみようか』で済んでしまいますからね。
この作品はどっちかが死んでいないと成立しないんですよ、なんらかの要因で二人が会えない状態じゃないと入れ替わりに気づいた段階で話が終わっちゃいますし。
んで、じゃあなんで死んだのかと考えると思い当たるのはあの彗星ぐらいしかなくて・・・
まあ、そこに思い至ったのはというより冒頭に映る彗星があまりにもデカかったので『こんなもんそのまま落下してきたら大惨事になるなあ』とか下らないこと考えていたせいでもあるんですが・・・
まさかカケラとはいえ本当に落ちていたという展開になるとは・・・
含み酒で思い出すのも、三葉が生きていた証が瀧が彼女を思い出すファクターで、含み酒が三葉の半身である設定からすぐに推察できました。
なんで、その部分には驚きはなかったのですが、最後の『結局三葉は助かるのか』『助かったとしても二人は再開するのか』という最大の見せ所に関しては予測不能だったので展開がある程度読めても十分に楽しめました。
それに帰ってきてネットを見てから気づいたんですけど冒頭で普通に成長した三葉の描写ありましたね・・・
正直見てるときはそんなことすっかり忘れてた・・・




ストーリーの運びは丁寧にまとまっていて、何気ない描写でもちゃんと伏線になっていて見ている内に自然と気づかせてくれるのが好印象でしたね。
誰がれ時がこの世とあの世の境目という授業からの黄昏を過ぎると三葉が消えてしまう場面、彗星が降る日が二人の間で認識のズレがあった事、急に学校を休んだ三葉が何故翌日髪を切っていたのか、糸が世界や人を結びつけるという説明、瀧がつけているお守りの組紐をどこで手に入れたのか。
何よりタイトルの『君の名は』というセリフ・・・
数え上げたらキリがありません。
加えて先の展開を知ってるからこそ見返して成程と思える部分も多いので何度も見返したくなりますね。
絶大な公共収入の要因はこうしたリピート要素もあるんじゃないかと思ってます。





SF的な考察をするとそもそもなんでこの二人が入れ替わる現象が起きたのかという点に目が向きますが、どうやらインタビューで監督が『最初色々理屈を考えたが結局決めなかった』と言ってるらしく、詳細はうやむやのままです。
ですが私としてはそっちが大正解だと思います。
あの奇跡はなんかの理屈で起きたものでなく偶然だから尊いんだと強く思います。
だから『宮水家の入れ替わり現象はこの時のためにあったのかもしれない』という部分は個人的にはない方が良かったかな。
ただ、代々入れ替わってるという事は当然三葉の母親も入れ替わりを経験したはずで、それが今の三葉父と出会う切っ掛けになったとかだとステキですね。
尺の都合上仕方ないかもしれませんが父の心境や説得の様子は是非見たかった・・・



糸守町に向かった瀧が三葉の事も忘れていき、日記も消えたのに組紐だけは残った点ですが、私としてはあれは入れ替わりに関係ない物だったからだと考えてます。
タイムリープものの常として歴史の修正作用によって過去に介入した証拠は消えていく物ですが、歴史改竄と判定されるのは入れ替わっていた三葉の記憶だけでなので三年前まだ見知らぬ少女であった三葉からもらった組紐は例外とみなされたのかもしれません。
瀧にとってあの紐は『三葉との思いで』ではなく単に知らない人から貰った物なわけですからね。
勿論、入れ替わりがあったからこそ三葉は東京までやってきて瀧に組紐を渡したわけですが、その行為自体は彗星の落下や町の消滅になんら関係ないので、歴史に介入しているとは見なされなかったのでしょう。
瀧が三葉を思い出したのは組紐のおかげなので誰ぞ彼時で紐を渡した事で瀧と三葉を結びつける糸がなくなり、瀧の記憶から三葉が消え始めたんじゃないかと考えています。




ところでタイムリープ物だと過去を変えても枝分かれした未来ができるだけで、結局その時間軸の未来は変わらないという展開が多いですが今作はダイレクトに未来が変わるタイプでしたね。
ジャンプ漫画で言うならドラゴンボール(セル編)が前者でキン肉マン(王位争奪編)が後者のタイプです。
タイムリープものの元祖、『タイムマシン』は主人公が事故で亡くなった恋人を救うために過去へ飛ぶ話ですがあの作品だと『主人公がタイムマシンを作ったのは彼女の死が原因だから、タイムマシンを使う限り必ず彼女は死んでしまう』と言う設定になってました。これは後者のダイレクトに変わるタイプですが、今作がこうならなくてよかったな・・・
ただ、『君の名は。』の三葉やてっしー、さやかが生き残った未来は枝分かれした未来ではなく、『事故が起きたけど死人は少なかった』という三葉の時間軸と瀧の時間軸が混ざったような世界になってます。
この辺はばあちゃんが言っていたように世界は結びつきでできていて、二人の行動で両者の世界が結び合ってできた新しい世界線なんじゃないかと思います。


…しかし、まあなんというか三葉にとって最大の幸運は異様に理解力の高い友人二名がいたおかげですね。
特にてっしーなんか傍目から見れば妄言にしか思えない瀧with三葉の警告を即座に信じ、発電所まで爆破してくれるもんだから、もう途中から『ティアマト彗星落ちてくるな!』から(このまま何もなかったらてっしーがただのテロリストになってしまうので)頼むから彗星落ちませんでしたってなるのはは勘弁してくれェ!』と思うほどでした。
これで歴史が変わって彗星も落ちなかったよ!とかなったらてっしーはもう全てを失う所でした。
てっしー、まじイケメン。サヤカと幸せになってください。




ラストは余韻を残しつつもハッピーエンドでしたね。
・・・ただ、これは本当に私の好みでしかないんですが個人的には三葉は死んだままのほうが良いんじゃないかと思いました。
過去は変えられないけど、三葉と出会ったことで瀧の今と未来は変えられる、みたいな。
私がシグルイとかベエグゾスカル零みたいなサツバツとした話が好きだからそう思うのかもしれないけど。
話変わるけど劇場版北斗の拳のEDでケンシロウがずっと荒野を歩き続けて、緑が豊かな土地にたどり着き、ユリアと再会して抱擁する・・・というところでユリアが消えて、豊かだった景色も全部ケンシロウの幻で本当は砂漠が延々と広がる景色が続いているだけなんだkそれでも歩き続けて終わり・・・というラストがすごい好きでした。
劇場版遊戯王でも結局アテムはもう帰ってこないからこそ、あのラストが感動的だったわけで。
でもハッピーエンドで終わったからこそ、ここまで支持されたという点もありそうだしな・・・
グレンラガンも結局最後はニアが蘇ってハッピーエンドのほうが良かったという声も結構聴くし、多少ご都合でもやっぱり皆幸せになった方が後味がいいですよね。
でも大切な人を救えなかった虚しさの中で生きていく瀧も個人的にはオイシイんだよな~
なんか調べていくと、これまでの新海作品がまさにそれだったみたいでもしかしたら私には過去の作品のほうが合うのかもしれん。






最後に、君の名は。を楽しんだ方々に私が強くお勧めしたい映画があります。
2000年にアメリカで公開された映画、オーロラの彼方へです。
ストーリーはまさに君の名は。と同様、オーロラの影響で過去との交信が可能になった主人公が偶然死んだはずの父親と通信ができてしまい、歴史を変えるために動き出すという話です。
大きく違うのは無線を通じて声だけが交信できるという部分ですがそれが制約として絶妙な面白さを醸し出します。
年頃の男女ではなく父親と息子なのでヒューマンドラマの側面が強いですが、その一方で父親の死に関する真相などサスペンス的な部分もあってとにかく目が離せない。
私が今作を知ったのはたまたまテレビでやってるのを見たからなんですがもうその時点で一気に引き込まれ、即座にお気に入りの作品となりました。
『君の名は。』を楽しめた方なら絶対感動できると思うので是非、見ていただきたい作品です。
結構マイナーな作品だと思ってましたがツイッターを見る限り君の名は。との類似性を指摘する声もチラホラあったのがなんかうれしかったです。


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