2015/08/15

LBX列伝 神威島奇譚③


・5日目

ユウトの暴発事件の翌日、またしてもLBXが操作不能になる事故が発生した。
オーディーンMが勝手に変形して墜落し、その周囲にいたLBXを多数巻き込む大規模な事故となってしまった。
当事者はやはりバンデットが現れる直前と同じノイズを感知していた。
まさかワールドセイバーの残党が潜んでいるのか?
ジオン軍やヒドラみたいに残党がしぶとく抵抗を続けるのはお約束だし、実際作中の時間軸ではA国でワールドセイバーの残党がヒロを利用しようとしている。
でも考えてみるとダンボール戦機の世界って悪の組織の残党が出てきた試しがないな。
イノベイターもガーダイン一味も見えないところで徹底的に根絶やしにされたのだろうか。
神谷藤五郎がW以降出てこないのはまさか・・・
事実なら比叡山の焼き討ちをした織田信長もビックリな殲滅っぷりですね。
仮にワールドセイバーに残党がいるとしたなら前に作品の組織と比べて何が違うのだろう。
・・・山野博士に関わったかどうかかな。
下手にあのオッサンに手を出さなかったことがワールドセイバーの命をつないだのかも。


まあワールドセイバーが存続しているのは事実だとしても、学園祭編の時に生徒も職員も全て潔白だと証明されている。
しかし今回の事件はワールドセイバーの影が見え隠れしている。
一体どちらが真実なのか?
生徒会が混乱しているとサクヤが墜落したオーディーンMの軌道に不自然な点があることを発見した。




『この軌道、何か変じゃありませんか?』
『・・・この半円形の軌道、確かに変だな』
『そうなんだ。仮にデスフォレストを目指すとなれば、直線距離の方が圧倒的に速い。でも、わざわざ半円形を描くなんてなにか不自然じゃないかな?』


旧グレンシュテイムを発進したオーディーンMはアフリカ北部へ行った後、急転換して半円形をの軌跡を描きながら海を越え、デスフォレスト周辺で墜落した。
つまりドイツからロシアに行きたいのにわざわざアフリカを経由するのはおかしいって寸法だ。
もっとも実際の航路だと燃料補給や乗客を乗せる都合で直接向かわないこともあるんだけど。



『だが、コントロールを失った後のことだ。どんな飛行経路になるかはプレイヤーにも決められないんじゃないのか?』
カゲトラがサクヤを見る。サクヤはそれに首を横に振った。
『もし仮にコントロールを失ったとして、その時このオーディーンMは何の影響に従って動くと思う?』
『何って・・・そりゃ誰も操作してないんだし・・・』
カゲトラが言うとそれもサクヤは否定した
『重要なのは、この機体は飛行形態だったこと。その場合、コントロールされていない機体は普通だったら外的要因で進路が変わるはずだ』


セカンドワールドは地球の環境が気流や天候すら再現されている。
故にオーディーンMが勝手に飛び回った場合その影響を受けないはずがない。
ところがこの機体は勝手に動いてるに割には機動がしっかりしている。
やはり何者かのハッキングによって乗っ取られていたのだろうか?
でもそうなると何でわざわざアフリカに寄ってから半円形なんて軌道を描いたのかが分からない。
勝手に飛んだにしては動きがはっきりしてるし、意図的に飛ばしたのなら航路が不自然だ。





『一定の地域で何かを探している、とか?』
ハルキが答える。
更にムラクが口を開く。
『あるいは、この範囲から外に出ることができない。そういうことか?』


ジェノック知性派の3人が立てた仮説は『ハッキングされた範囲で何かを探している』と言うことだった。
これなら、意図的に動かされていながら軌道が不自然だったこと、デスフォレスト付近で急に墜落した事の両方に説明がつく。
流石一部隊を率いていた隊長達だ。頭も切れる。
なお、これらの会話にスズネやヴァネッサは一切口を挟まない。理由はお察しください。
だが飛行経路の謎が解けたところでハッキングの理由や犯人がわかったわけでも無い。
生徒会役員は再び頭を抱えるのだった。





その夜、ペンギン荘の一室でマヤ・ノヴァックは暗い表情を浮かべていた。
彼女は昼のランキングバトルで丁度墜落事件が起きた現場にいた。
それどころか墜落したオーディーンMは彼女が整備したものだった。
プレイヤーのダニエル・メコリスキは主翼の付け根に亀裂が走っていたことをマヤが見落としていたのを厳しく咎める。
ダニエルはオーディーンMを開発・運用に成功した功労者だとホビージャパンで語られている。
自分が開発した愛機が整備不良で傷つくのは心外な部分もあるのだろう。



傷心のマヤの元へ来客が現れる。
グレンシュテイム高等科の門倉アンナだ。ゲームでもグレンシュテイム唯一の女性プレイヤーなので印象深い子ですね。
マヤとは同じクラスだったようだ。



『泣いていたのね』
『えっ』
『目元、黒いオイルの線が付いてるわ。』
慌てて袖でぬぐい取る。確かに黒い整備用の油が付いていた
『早くお風呂に入ったほうがいいわ』
まるでお母さんのようなことをアンナが言った
『何か用じゃなかったの?』
早く話題を変えたくてマヤは促した』
『・・・何か、悩んでいることがあるんじゃないかしら』


アンナは悩みを抱えているマヤを気遣って励ましに来たのだ。
圧倒的母性力・・・!どっかの赤い彗星なら即効で手駒にしたがりそうだ。
それに目元の線から直前までマヤが泣いていたことを一瞬で見極める洞察力。
彼女だったらスタンド使いがわからなくても咄嗟にタバコの煙を利用して炙り出す位の芸当は朝飯前と見た。
アンナの鋭い追求は実際的を得ていたが、マヤは真実を話す気になれずに誤魔化してしまう。
だがアンナを送り返す際、CCMに送られてきたメールを見たマヤの表情が固まった。
送信者不明のメールには『カエセ』と一言だけ記されていた。
コワイ!その昔チャクシンアリと言うホラー邦画があったのを思い出す。
あれ、相手の着信音を自動で映画内の呪いの着信音に変更して電話かけれるサービスがあったんだよな・・・懐かしい。








・5日目

サクヤの悪い予感は見事に的中した。
ウォータイムの最中森林地帯を疾走する二機のジラント。
その様子は明らかに正常を欠いている。なぜならば・・・

『大丈夫か!?』
『ヤバイ!足が嵌った!』
『早くしろ・・・!奴が、奴が来る・・・!』
右肩に29とナンバリングされたジラントがゆっくりと周囲を警戒するようにアサルトAR5Sとシールドを構えながら後退りで仲間のところへ向かう。
恐怖心、緊張感、そういったものが手に取るようにわかる動き方だ。
落ち着きなく左右に顔を振り、彼らを追ってくる「何か」を警戒している。
『う、うわぁあああああぁぁぁぁっ・・・・・・・・・・・・!』
『!』

仲間の悲鳴を聞き、ジラントのプレイヤーは銃を構えて警戒する。
だが、そこへ仲間のジラントの頭部が落下する。そして黒い影!
降伏や投降も構いなく無慈悲に二機のジラントは解体された。



・・・ウォータイム終了後、謎のLBXの正体はすぐさま生徒たちの間で噂となった。
誰が付けたか、セレディが操ったLBXと同じ『亡霊』(ファントム)が名付けられた。
生徒たちにとっては冗談のつもりかもしれないがワールドセイバーの残党がいる可能性を知っている生徒会にしてみればシャレにならん事態だろう。
騒ぎが大きくなってないのも、まだ暴走騒ぎの関連性に生徒が勘付いていないからなのだろう。
このあたりの顛末はHJ誌掲載のLBX列伝一三話と同じだ。
黒い影がファントムとして噂になり、マヤの部屋が荒らされる。
唯一異なる点として、錯乱するマヤを親友であるナタリヤが問い詰めるシーンが追加されていた。


『変な音がしたから覗いた。それは謝る。だが、これはどういうことだ?』
男のような喋り方でナタリヤが正面からマヤを見つめている。
『マヤ、私を見ろ』
ナタリヤが真剣な目でマヤを見つめる。両肩に乗せられた手が暖かい。
『・・・何でもない。何でもないの』
『そんなはずはない』
『いいの。放っておいて』
『マヤ』
『やめて。出て行って』


マヤが親友を無心に追い返したのは、自分が何か取り返しのつかない過ちを犯したと同時に、その騒動に親友を巻き込みたくないと思ったからだった。
悪夢のような事態にうなされるマヤを追い詰めるように謎のメールが再び届く。
日に日に悪くなっていく事態が行き着く先はどんな悲劇なのだろう?
アラタのいない今、ヒカルたちはどう動く?


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コメント

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列伝感想待ってました!

Re: grabiさん

> 列伝感想待ってました!

ありがとうございます!
ようやく半分くらいでしょうか・・・
筆が遅くて恐縮ですが読んでいただければ幸いです。

ユノっち…

飛行形態のオーディーンによる多くのLBXを巻き込む墜落事故の勃発。
『半円形の軌道』と言うのはゲームをやってる人間にはまだわかりやすいですが、できれば挿絵を使うなどして説明してほしかったですね。

冴え渡るサクヤ・ハルキ・ムラクの頭脳!
どうやらこの場には最初からスズネ達はいないみたいですが、エズフィトさんの仰る通りここにいても口を挟めなかったでしょうねw


さて夜のペンギン荘。
ダニエルがマヤに苦言を呈していますが、「アーマーフレームに亀裂があった」なんて良くわかりましたね…?
墜落して爆発したのなら、原形留めてるハズ無いのに。

しかし何といってもアンナお姉様! その母性ときたら…(〃∇〃)
ぶっちゃけダニエルなんかよりアンナお姉様をもっと掘り下げて欲しかったですよね♡
ロシウスのイスズちゃん、ロンドニアのモモコ先輩、アラビスタのベルちゃんとも一緒にアニメで見たかった~!


そして翌日。
2体のジラントはおそらく仲間をやられて必死に逃げてたんでしょうね。まぁ、急に訳わかんないやつに訳が分からないまま襲われたらパニックにもなりますか…(汗)

スワローに集まるいつもの面々。
しかしアラタいないのに、なぜユノも来てるんでしょう…? キヨカは何してるんだ…
そもそも残っているジェノック女子がユノ・キヨカ・リンコ・バネッサというメンツなので、「アラタがいなくて寂しいんじゃないの?」みたいな感じでユノを冷やかしてくれるキャラがいないんですよね…
せめて「アラタの水色パーカーを預かってる」みたいな文章があったら良かったのに…(›´ω`‹ )

そして誰にも悩みを打ち明けられずに苦しみを募らせるマヤ…こんな時でも親友を巻き込むまいとする彼女の強さには頭が下がります。
彼女を救ってくれるヒーローはまだか…!?

Re: ユノっち…

> 飛行形態のオーディーンによる多くのLBXを巻き込む墜落事故の勃発。
> 『半円形の軌道』と言うのはゲームをやってる人間にはまだわかりやすいですが、できれば挿絵を使うなどして説明してほしかったですね。

そこに限らず挿絵が欲しいシーンが本当に多いですよね…
ヒカルVSムサシとか後半の禍々しいディ・エゼルディとか。
もう何回言ってるかもわかりませんがマヤとユウトも…
ラノベの売上の9割は絵で決まるというジョークもあるくらい、イラストはアドバンテージが高いのだ。



> 冴え渡るサクヤ・ハルキ・ムラクの頭脳!
> どうやらこの場には最初からスズネ達はいないみたいですが、エズフィトさんの仰る通りここにいても口を挟めなかったでしょうねw

後で見直して気づきました(汗
そういえば彼女たちは生徒会メンバーではなかったですね…
この件に関してはミラーシェード=サンがケジメをするのでお許し下さい。



> さて夜のペンギン荘。
> ダニエルがマヤに苦言を呈していますが、「アーマーフレームに亀裂があった」なんて良くわかりましたね…?
> 墜落して爆発したのなら、原形留めてるハズ無いのに。

破片が運良く残ってたんでしょうね。
飛行機事故とかでも根気よく破片を探してできる限り原型を再現しようとするみたいですし。
ところでバンのオーディーンがあれほど激戦をくぐり抜けてもそんな不具合が一度もなかったのはバンがマメにメンテしてたからでしょうか。
オリジナルのオーディーンはスゴイ耐久力という考え方もできるんですが、LBXを愛し基本を忠実に守るバンの性格を考えると前者であってほしいですねぇ。


> しかし何といってもアンナお姉様! その母性ときたら…(〃∇〃)
> ぶっちゃけダニエルなんかよりアンナお姉様をもっと掘り下げて欲しかったですよね♡
> ロシウスのイスズちゃん、ロンドニアのモモコ先輩、アラビスタのベルちゃんとも一緒にアニメで見たかった~!

アンナさんは私の母になってくれるかも知れない人だった!
実際ボイスはアオイちゃんの使い回しだって?知らん、そんな事は俺の専門外だ。
アニメにも背景でいいからゲームキャラ移して欲しかったですよね。
ハーネスの生徒は実際そんな感じでアニメに写ってるわけですし。



> スワローに集まるいつもの面々。
> しかしアラタいないのに、なぜユノも来てるんでしょう…? キヨカは何してるんだ…
> そもそも残っているジェノック女子がユノ・キヨカ・リンコ・バネッサというメンツなので、「アラタがいなくて寂しいんじゃないの?」みたいな感じでユノを冷やかしてくれるキャラがいないんですよね…
> せめて「アラタの水色パーカーを預かってる」みたいな文章があったら良かったのに…(›´ω`‹ )

普通にみんなで集まってお喋りみたいな感じですかね。
ユノはほら、ドットフェイサーという替えのきかない大事なものを預かってますし…
ダン戦のヒロインは逞しい方が多いので、彼女も寂しがるより『アラタの留守はしっかり自分が守る』的にポジティブに捉えてるんじゃないかなーというのが私の意見です。
ヒロインなのに女子力より漢力が高い娘ばっかりだよもう。



> そして誰にも悩みを打ち明けられずに苦しみを募らせるマヤ…こんな時でも親友を巻き込むまいとする彼女の強さには頭が下がります。
> 彼女を救ってくれるヒーローはまだか…!?

身も蓋もないことを言えば彼女がさっさと打ち明ければ何事もなく済んだ話ではあるのですが…
まあ、そうできない事情があったこともフォローされてますしね。
ヒカルは彼女にとって黄金の鉄の塊で身を包んだ素敵なナイトになるはずです。
使ってた機体はきたない忍者だけど。