2012/10/01

ガンダムAGE インタビュー2


前回に引き続きモデルグラフィックス11月号のインタビューまとめです。



■石垣純哉(メカニックデザイナー)

ガンダムAGEは準備段階で「今回の敵は宇宙人です。」ということだけを聞かされたので、まずはその大枠に沿ったものをいくつか書いてみたんです。
そのデザインに対し旧来のガンダムファンから批判が生じるであろうことは、もちろん当初からわかっていました。
(中略)
それで今回AGEでその好奇が巡ってきたわけですが、バンダイからは「これまでのMSとはまるっきり変えてくれ」といわれ、正直なところ戸惑いました。
MSはMSっぽくしないとMSである意味がないのではないか?ザンスカールの件で反省したじゃないか。
しかしオーダーとしては「ガンプラを知らない子供たちにはMSらしさも何もないからとにかく新しくして欲しい。ドラゴン型のMSなんてのもアリなんじゃないか。という内容だった。




新作ガンダムが発表されると当然その作品のMSも紹介されるわけであり、その際にファンからあれやこれやと叩かれるのがガンダムの伝統だがヴェイガン製MSについては特に波紋を読んだと思われる。
制作陣の方もその件については織り込み済みだったようで今となってはガフランのラインはヴェイガン特有のMSのシルエットとして認識されてるが「ガンプラを知らない子供たちのために新しいデザインを」という点に関しては疑問が残る。
ガンダムを初見の子供たちにとってはそもそもMSなんて知らないんだから別に今までと作風を変えなくても目新しいものに写るんじゃないのか?
ヴェイガンのMSを見て『これは今までとは違う!』と認識するのはそれこそ今までのガンダムを知ってるファンこそ言えるセリフだろうに。
然るにあえて異形のシルエットを取り入れた理由としてはやや判りづらいことに思える。



ところで『ドラゴン型のMSなんてのもアリなんじゃないか』というセリフだがさり気にヴェイガンのMSがドラゴン型をしている根幹の理由を明かしている。
なんか、この文を見るに一担当者のノリで決まったみたいな印象を受けるんだけど、違うよね?
結果的にドラゴン型MSがヴェイガンの象徴という事になったわけだがそのスタートダッシュを切ったがフランのデザインに関しては、個人的な第一印象としては『微妙』の一言だった。
まずなんというか立ち絵がダサいのだ。
モールドがほとんどない装甲も然ることながら、あのスカートがダラっと下がった感じとか・‥そしてなにより頭部の形状がオカッパ頭みたいに見えて激しくダサい。
これらの欠点はゼダスにて早くも改善されておりゼダスは初見で格好良く映ったものだ。
「ゼダスが第一弾に来ていれば・‥」一年ほど前に私はそう感じたのをよく覚えている。



なお、インタビューによると『ドラゴンとオーソドックスが両立するデザイン』を目指したらしいですがどちらかというと正道と邪道をミックスした強さよりも中途半端なイメージの方が強い気がします。
変形型がお世辞にもドラゴンに見えるとは言い難いし・‥いっそ今月号の作例のように羽の内側を真っ赤に染めるなりすればまだドラゴンに見えたかもしれない。
或いは最初からダナジンレベルでドラゴンを主張していれば・‥





でもAGEに関して言えば、「ヴェイガンのMSはどうやって動いているのか」みたいなことよりも、子供が「・‥なんだこれは!?」と興味を示し、手にとってくれるようなものになった方が正しいと思うんです。
バーニアがついてなくても飛んでいいじゃないか、我々の肌触りの範囲内にある物理や科学内に押し込める必要はないだろう、と。




ヴェイガン側のMSがどうやって動いているか詳細な設定がないのは以上の理由によるものらしい。
別にヴェイガンは謎の存在だし、後の展開で自身たちですら理解してない高度なテクノロジーを使用していることが判明するため、詳細な動力源などが明記されないのは、まぁいいのだが問題は連邦側のMSにもほとんど設定がないことだろう。
むしろ連邦側にリアルな世界観を作り込むことでよりヴェイガンのMSの異質感を強めることもできたはずだ、『設定を会えて作らなかったのは想像の余地を残した』というのがスタッフの言い分だがこのような書き方では手抜きと言われても仕方のないことだったと思う。





■馬場俊明(バンダイホビー事業部企画開発代にチーム兼マーケティングチームリーダー)


日野さんは特殊な才能の持ち主で、今までのガンダム制作のスタッフにはいなかったタイプの人です。
たとえばコロニー内にいきなり敵MSが現れる。「どこからやってきてどうやって侵入したのか」とか、これまでのガンダム好きなら必ず考えるであろうことを日野さんは重要視しないんですよ。
それよりも「このタイミングで敵MSが出てきたらピンチになって面白いよね」というように、ゲームのイベント的な考え方をする方なので、それは日野さんの得意分野でもあるし、そこは活かさなきゃいけないと思ったんです。




ネット上で特に論争が巻き起こった一文だが、一言でまとめるなら『日野さんのシナリオは面白いことが起きるという結果が重要であってそれまでの過程はどうでも良い』ということらしい。
その結果が何故か湖から出てくるゼイドラやロマリーワープなのか。
主人公を中心にイベントを次々こなしていくゲーム的な表現は無駄を省いて話を分かりやすくすると言う長所がある。でもAGEの場合何故か話がわかりにくいし無駄なところばっかり書いてる気がする。
その際たる例がジラード・スプリガンだろう。無用なキャラクターだった上物語にとってなんの必然性を感じられなかった。
ゲーム的手法の長所を殺してしまっており、代わりに淡々と話が進んで味気ないという短所が残った感じだ。


AGEの設定面はわざと緩やかに作ってあるので、その隙間でみんなに好きなように楽しんでほしいと思っていたんです。
ファーストガンダムの時にも設定はあるにはありましたが、むしろSFファンやモデラーが「こういう考え方をすればつじつまが合う」「こうであればリアルだ」といったあんを出し合い設定の隙間を埋めていくことで、バックボーンが強靭に形成されていきましたよね。
つまりAGEもそうあって欲しいと思ったので、意図的にファンの人たちが自由に遊べる隙間を多く残したんです。
隙間を多く儲ければいろいろなアイディアが受けて側から出てくると思ったのですが・‥
正直な話、ほとんど出てきませんでしたね。




石垣さんも語っていたようにAGEはあえて設定を描写しなかった部分が多く見られる。
とは言え、いくらなんでも多すぎだ。
骨組みがあれば壁と屋根を作って家でも作れるけど更地の荒野だったら何もできませんよ。
10話位になっても分かることといえば連邦があって敵は謎の存在でとりあえず宇宙進出しているレベルの事しか見えてこない。
地球がどうなってるのかとか地球にとってヴェイガンの驚異がどのくらいかとかとにかく与えられる情報が少ない。
前述したようにゲーム的な演出のためフリット中心にしか話が進まないからどうしても世界観が狭くなってしまう。
これじゃあ、設定を膨らませる余地もないよ。
00の様に序盤多少勢いが落ちても世界観の説明を入れておくべきだったように思う。




統括するとAGEという作品を作る上で様々な新しい試みに挑戦したというのが感じられる。
だが結果的にその試みのほとんどが中途半端な形にしかなっていないのがAGEのダメなところだろう。
ドラゴン型MSは半端に人型を意識したため、どっちつかずなデザインとなり、設定をあえて隠す点も匙加減を間違えて台無しだ。
無論、時期が経つにつれよくなった部分もあったのだが・‥



しかしインタビューのいたるところで『ドラゴン型MSが出てきたのは衝撃的だった』『ガンダムという作品で新しい試みだ』とか書かれていて兎にも角にもヴェイガン製MSは異形という主張が強いのですが個人的にはドラゴン型MSよりもドワーフ型人間の方がはるかに異形で衝撃的だと思うのだが。
いや、新しければいいってもんじゃないと思うんだけど。
確かにヴェイガン製MSは今までとは一線を科すデザインだったがそれでもインパクトでカニガンダムやエビガンダムを超えているとは思えない。
なんにせよAGEの敗因の一つはヴェイガンのデザインを過信しすぎたことかもしれない。





スポンサーサイト

コメント

非公開コメント